トスカーナ料理は「貧しい料理 」?


トスカーナ州フィレンツェ料理の中で、最も有名なのはフィレンツェ風ステーキです。一方フィレンツェ料理には、代々農民から受け継いできた「貧しい料理」があります。その中でも「パン」を利用した料理が目立ちます。それらの料理は、いまでも家庭とレストランで作られています。


そして、「捨てるものは何もない」という農家に残る格言は、世界のトップシェフ、マッシモ・ボットゥーラにも受け継がれているように思います。最後にミシュラン三つ星シェフによる「余ったパン」を一流レストランのデザートに変身させるレシピを紹介します。


「貧しい料理」とは


先祖代々伝わる「余った食材で作られた料理」のことを意味します。

食料がいまのように豊富ではない時代、手に入る限られた食材で料理を作ることを人々は、強いられました。そのような状況で食材を活かして毎日の食事を工夫して作っていました。そして「余った食材」を「再利用」した料理が誕生しました。


それらの料理が「貧しい料理」です。「貧しい料理」は、イタリア料理の基礎を築きました。そして、家庭やレストランで現在まで脈々と受け継がれています。

 

「貧しい料理」の食材と調理法は質素でシンプルです。また、それらのレシピは、料理の準備段階で出た「捨てる部分」や「売ることができない肉の部位」そして、「古くなったパン」などを使用しています。


「貧しい料理」で使用される事が多い食材は、パン、オリーブオイル、そして野菜です。「食料の不足」から「余った食材」を再利用する「必要性」に追われて生まれたのが「貧しい料理」です。

 

 

戦争がもたらした「塩なしパン」


トスカーナの「貧しい料理」には他の州と比べて特徴があります。それは「パン」を使用した料理が多いことです。また、トスカーナのパンは「塩が入っていない」パンとして有名です。塩なしパンの誕生には、いくつかの逸話が残っています。

 

時代をさかのぼること中世の時代・11世紀。まだイタリア半島が無数の小国で溢れていた時代です。海洋国家ピサとフィレンツェ共和国が戦争をしていた時、ピサがフィレンツェがある内陸に向けての塩の流通を止めました。

その為、フィレンツェの人々は、塩なしでパンを作ることを余儀なくされました。その苦渋の結果、生まれたのが「パーネ・トスカーノ pane toscano」「塩なしパン」です。

 

もう1つの伝説は、「税」に関わることです。

中世の時代、ピサ人が塩にかかる税金をあげました。フィレンツェ人は塩の税金を払って「塩入りパン」を作るか、それを払わないで「塩なしパン」をつくるか二者択一を迫られました。

そして、後者の税金を払うのを免れた代わりに「塩なしパン」を作ることを選択しました。そして、「塩なしパン」が生まれました。

 

 

 

 

 

 

パンを利用したフィレンツェ料理・3


昔の農家では、1週間に1回パンを焼いていました。次のパンが手に入るまで、農家の女性たちは、知恵を絞ってパンを様々な料理に変身させてきました。それは、トスカーナの田舎に残る「捨てるものは何もない」という格言からきています。


トスカーナの伝統料理には、「余ったパン」を利用したいくつもの料理があります。その中から、3品を紹介します。

 

 

 

 

1.「パッパ・アル・ポモドーロ pappa al pomodro


「堅くなったパン」を使用したフィレンツェの「貧しい料理」を代表する1品です。

材料は、堅くなったパン、熟したトマト、ニンニク、バジル、野菜のブイヨン、EXオリーブオイルです。

現在では、フィレンツェの高級レストランのメニューにも載っている1品です。

 


2.「パンサネッラ panzanella


パンを使用したサラダです。

材料はいたってシンプル。古くて堅いパンを白ワインヴィネガー入りの水に浸して、柔らかくします。パンが柔らかくなったら、よく水を切ります。そして、キュウリ、トマト、赤玉ねぎ、バジルを混ぜます。塩胡椒、EXオリーブオイル、そして酢で調味します。

最後にそれを冷やしたら完成です。出来た当日よりも翌日の方が味が馴染んでいっそう美味しく頂けます。

 


3.「リッボリータ ribollita


パンを使用したスープです。

リッボリータは農民の間で生まれた料理になります。金曜日に大量に作って、翌日や翌々日にもう1度に火かけて温めて食べたことから、リッボリータ(イタリア語の動詞・ribollire 再び煮るに由来しています)といいます。

 

 

 

 

 

 

古いパンをデザートに変身させた!

世界一のシェフ、マッシモ・ボットゥーラ(MassimoBottura)のレシピ


イタリア・モデナにある「オステリア・フランチェスカーナ」のシェフ、マッシモ・ボットゥーラ。ミシュラン3つ星、「世界のベストレストラン50」に数回にわたりノミネートされました。

そんな世界を代表するマッシモが作る「日が経ったパン」を使用した「パーネ・エ・オーロ パンは黄金なり」を紹介します。

 

パーネ・エ・オーロ(6個分)

 

カリカリのパン

直径10cm、厚さ3mmの円形にくり抜いた硬いパン 6

粉状の金箔 10g

 

1、オーブンを180°Cに予熱する。

2、バットにオーブンシートをひく。そこに間隔を空けてくり抜いたパンを並べて、オーブンに入れる。

32がきつね色になるまでオーブンで焼く。

43が焼けたら、オーブンから取り出して冷ます。パンが冷めたら、金箔の粉を振りかける。

 


パンと黒砂糖のクリーム

材料

削った1日経ったパン 100g

黒砂糖            100g

無調整の牛乳                 800ml

生クリーム                  スプーン3

 

1、フライパンにパンと黒砂糖を入れて、パンをキャラメル状にする。

21を片手鍋に移して、そこに半量の牛乳を注ぐ。

32を中火にかける。パンが牛乳を完全に吸い取る手前まで火にかける。牛乳を焦がさないように注意する。

 

4、残りの牛乳と生クリームを3に注ぐ。沸騰させて、約3分間火にかける。そして、火からおろして冷ます。

 

54を高速モードにしたハンドミキサーで材料が完全に混ざり、クリーム状になるまで泡立る。そして、裏ごし器で2回こしてからバットなどに移して、ラップをして冷蔵庫で休ませる。

 

6、ハンドミキサーで5を持ち上げて、ツノが立ったら(生クリームの8分立て)絞り袋に移して冷蔵庫に置いておく。

 


塩キャラメルのジェラート

材料

生クリーム 150ml

黒砂糖   150g

塩     ティースプーン½

牛乳    50ml

水     200ml

 

1、小鍋に生クリームを入れて火にかけて、沸騰させる。

2、もうひとつの小鍋に砂糖を入れて火にかけて、砂糖を完全に溶かす。

321と塩を入れる。すぐに火から下ろし、泡立て器で混ぜる。

4、小鍋に目の細かい濾し器をのせて3を濾す。

54に牛乳と水200mlを注ぐ。それらを40°Cまで温めて、80°Cを超えない範囲で約2分間煮る。

6、数分後、5を火から下ろして冷ます。

76をジェラートマシーンに入れる。その機械の取り扱い説明書に

従ってジェラートを作る。

 

ジェラートマシーンがない場合、6を冷凍庫に入れて、スプーンですくえるくらいの固さになるまで放置する。

 

キャラメル状のクロスティーニ

材料

サイコロ状に切った1日経ったパン 100g

黒砂糖       50g

 

1、フライパンでサイコロ状のパンを炒る。パンがカリカリになってきたら、黒砂糖を入れてキャラメル状になるまで火にかける。

21を鉄板などに移して冷ます。

 

組み立て

1、お皿の真ん中に、をスプーンでクネル1つ分を作りのせる。

251に散らす。

32にスプーン1杯分のを絞る。

431枚のせる。

 

 

まとめ

イタリア料理の基礎を作った「貧しい料理」。その中でもトスカーナ州に伝わる「古いパン」を使用した料理を紹介しました。

現在のイタリア料理界では、伝統料理を見直す動きが広がっています。

レストランで「余った食材」は見方を変えるとマッシモのようなその店を代表する1品になる可能性を秘めています。

 

参照元

https://www.scattidigusto.it/2015/05/28/massimo-bottura-ricetta-perfetta-pane-oro/

https://www.vanityfair.it/vanityfood/ricette/2017/11/21/massimo-bottura-ricetta-pane-e-oro-il-dolce-per-tutti