知ってるようで知らない?トリュフのこと
イタリア・秋の味覚で誰もが思いつくものに「トリュフ」があります。
イタリア人が「我々の祖国で最も貴重で珍重される賜物の一つ」というのがトリュフです。
キャビア、フォアグラと並んで世界の三大珍味としてのトリュフ。でも、一体トリュフは何モノ?という疑問が湧いてきます。
(キノコだと思うけど。でも土の中に埋まってるよね?塊茎(地下茎の一部が養分を蓄え、肥大したもの)と言われるとそんな気もするし。。。)
ということでトリュフを調べてみると、胞子を広げて繁殖し肉厚な体を持つ地下に生息するキノコだということ。
ただ形状が塊茎(かいけい)に似ており、学術名でTUBER(塊茎)と呼ばれているので混同されやすいといいます。
なるほど。
大きく別けて、白トリュフと黒トリュフの2種類しか知りませんでしたが、実は他にも様々な種類のトリュフがあるのです!しかも品種によって収穫時期は秋とは限らないようです。
イタリアでは、法律により食用と見なされるすべてのトリュフを含む9種類のトリュフのみの収集と販売が許可されているとのこと。
これらの 9種類 のうち 6種類 が市場を争う主要なトリュフということなので、それぞれのトリュフの特徴、収穫できる地域、収穫時期についてご紹介していきます。
まず、トリュフの品種はどのように識別されるのでしょうか?
一般的な識別方法は、収穫してから短時間で人間の五感での分析によるもので、以下のような一連の特徴によって区別されるそうです。
• 芳香 各タイプのトリュフで唯一の匂いがある。
• 味覚 これも各タイプのトリュフで独特な味がある。
• 皮殻 外皮の様子
• 根塊 果肉の部分
• 熟成期間 それぞれの種類によって多様
稀に行われる識別方法として、トリュフの胞子を生体分子の分析技術を用いて実験室でおこなわれることもあるようです。
主要な食用トリュフ6種類について
1.Tartufo bianco pregiato (Tuber Magnatum Pico)
アルバトリュフという名前が付けられ、イーストリア半島とピエモンテ州のみで通気性の良い柔らかく湿った土壌で育ちます。
オーク、柳、ポプラやヘーゼルナッツの木と共生しており、外観は球形で表面がわずかにビロードのような皮殻で凹凸があります。
色は、クリ-ム色から黄土色まで変色し完熟してもその色は変わりません。
果肉はグレーがかった黄色っぽい色で、白い静脈が大理石のような模様になっていて強い芳香がありパルミジャーノチーズに似た香りがします。収穫は10月から12月にかけて行われます。
2.Tartufo Bianchetto (Marzuolo, Tuber Borchii Vittadini)
イタリア全域で石灰質の土壌で育ちます。
オークなどの広葉樹、カラ松、杉、モミなどの針葉樹と共生。
皮殻はオフホワイト色で白トリュフに似た特徴があります。
実際には、成熟すると、内側も外側も茶色っぽく変色します。
芳香は最初はほのかに、そのあと強いにんにくのような匂いがすることもあります。
市場では、TartufoBianoPregiatoに比べると需要は低く収穫は1月から4月末まで行われます。
3.Tartufo nero pregiato (Tuber Melanosporum Vittadini)
ノルチャの黒トリュフとしても知られています。
皮殻の表面は、黒褐色で果肉は薄い筋が入っていてイボや裂片のある丸みを帯びた形状をしています。
強烈な芳香はアロマチックでフル-ティ―。
植物の少ない丘や山を好み、オークやライム、ヘーゼルナッツなどの木と共生しています。
白トリュフに次いで最も珍重されており、収穫は12月から3月中旬の間に行われますが、地域の行政機関が毎年正確な収穫期間を定めているとの事。
イタリアの他に、スペイン、フランス市場に広く出回っています。
4.Tartufo nero estivo o Scorzone (Tuber Aestivum
Vittadini)
サマ-トリュフ。
Tartufo nero pregiatoに似ていますが、カットすると果肉が際立った濃い黄色で、表面には尖ったイボがあり、匂いは繊細です。
この品種はかなり大きくなり粘土質で砂質の土壌で育ちます。標高1000mまでの土地で育つのでその標高に応じてオーク、松、ヘーゼルナッツの木と共生しています。収穫は5月中旬から10月下旬にかけて行われます。
5.Tartufo invernale (Tuber Blumale
Vittadini)
ウィンタートリュフ。冬トリュフ。
果肉は黒っぽい大理石のような静脈があります。
香りは強烈で麝香(じゃこう)のような匂いが持続し、変種の中にはスパイスのナツメグを思い起こさせるような香りがするそうです。
この品種の価値はTartufo nero pregiatoの半分とされ、収穫は1月から4月にかけて行われます。
6.Tartufo Nero Liscio(Tuber Macrosporum
Vittadini)
市場にはあまり出回ってなく認知度の低い品種でありながら、業界では依然としてこの品種の人気は高いそうです。
表面はなめらかでコブはあまりありません。
心地よい芳香が強いのが特徴。オーク、ポプラ、ライム、柳などと共生していて収穫時期は、7月から12月下旬にかけて行われます。
あまり聞きなれない品種もありましたが、皆さんはご存知でしたか?
ANDARE A TARTUFI!トリュフ狩りには、免許取得が必須。
トリュフ狩りは「ANDARE A TARTUFI」だとは知りませんでした。
因みにキノコ狩りは「CERCARE A FUNGHI」でANDARE(行く)ではなくCERCARE(探す)を使うので面白いと思いました!
トリュフ愛好家の中には、自ら森へ出向きトリュフを探すことに情熱を注ぐ人もいます。
しかし、誰でもトリュフ狩りができるわけではありません。
まずは、州が発行するトリュフ狩りを承認する免許取得のための試験へ合格する必要があります。
テストの出題項目はトリュフ狩りのテクニック、国や州ごとの規律、トリュフの種類についてなど。見事合格して免許を取得してようやく森へ入れるのです。
免許は、毎年更新しなくてはならず、かなり厳しいですよね。
また、各州で「収穫時期カレンダー」が発行され、トリュフの種類によって収穫時期が違うので法令で許可されている収穫期間のみ森への進入が許されています。
トリュフ採取用の特別用具VANGHETTO
いざ、森へ入りトリュフ狩りへ。という状況になっても様々なル-ルがあるようです。
夜に進入することは出来ず、指定時間内で。
成熟していないトリュフは採取してはいけない。
調教された犬しか連れて行かれないなど。
そして、重要項目がVANGHETTOを使用すること。
VANGHETTOとはどんなものだろうと検索してみると、確かにトリュフを傷つけることなく採取できるトリュフ用スコップ?として販売されている用具があります。
私は今までこんな形の用具を見たことありませんでした。
最後に、掘り起こした穴はきちんと埋戻しをしておくこと。
森を元の状態へ戻して帰ることは最低限のル-ル。
このように苦労して手に入れたトリュフは格別な味なのでしょうね。
さて、この高級食材トリュフの味わい方として思いつくのが、リゾットやパスタの上に生トリュフを削って食べるというもの。
寒くなってくると、郷土料理であるポレンタは食卓に上るようになります。
イタリアのレストランで、ストップをかけないとどんどん削られていざ、お会計でビックリ!なんてことを経験されたことはありませんか?笑
それでも、普段あまり食べられないからこそ、たっぷり削ってもらいトリュフを堪能したいですよね!
「トリュフを扱うときにやってはいけないこと。」5か条とは?
1.濡らしてはいけない
前述でご紹介した通り、トリュフはキノコの分類。お手入れ法は、キノコ同様水で洗ったりしてはいけません。
毛が柔らかいブラシや布なので汚れを取り除くのがベスト。
トリュフは多孔質で水分を素早く吸収するので腐敗の原因になります。
黒トリュフに比べ白トリュフは更に繊細なのでやさしく扱います。
2.長時間冷蔵庫に入れておかない
時間が経つと風味が落ちるのですぐに食べた方がよいですが、冷蔵庫で保管する場合は最長1週間が目安。(白トリュフは出来るだけ早く。)
その際の保管方法として、トリュフをキッチンペーパーで包み、ガラス製の容器やジプロックで密閉し、湿気が大敵であるため毎日キッチンペーパーは交換することが大切ということです。
3.冷たいトリュフをすぐに使わないこと
冷蔵庫で保管されていたトリュフは、冷蔵庫から取り出して最低1時間は置いておくこと。
常温に戻るのを待ちます。
トリュフのポテンシャルが冷たいままだと引き出されず、香りや風味が半減してしまうそうです。
4.白トリュフは加熱しないこと
トリュフを調理する時に最も重要なポイントは、「白トリュフは加熱しない。」ということ。
高温になると、白トリュフの素晴らしい特徴が破壊されてしまうそうです。
程よい温度下に置かれた白トリュフこそ逸品。薄くスライスしたものを暖かい料理の上に載せることで白トリュフの本領が発揮できるわけです。
5.黒トリュフは加熱しすぎないこと
白トリュフでは、ご法度の加熱は黒トリュフではありです!
しかし、炒めたり、焼き色がつくまで調理するなど加熱しすぎはNG。
あくまでも調理の最終段階で加えるのが良いそうです。
詰め物やパテなどの料理法にも適している黒トリュフですが、白トリュフ同様そのまま薄いスライスを料理の上に載せて食べても。
これらのことを考慮すると、トリュフは自然体のまま頂くことが一番の調理法ということですね。
最後に現地トピックとして、気になるトリュフフェアをご紹介しておきます。
国際トリュフ料理コンテストで第3位を獲得したジュセッペ.デンリ-コシェフが11月26日開催のトリュフフェアでワークショップを開催
3月にスペインのソリアという町で「国際トリュフ料理コンテスト2022」が開催されました。全8か国のシェフが参戦し、イタリア代表ジュセッペ.デンリ-コシェフ作の「ゴールドブラックリゾット」が見事3位に入賞しました。
このデンリ-コシェフが来る11月26日に、アルバの白トリュフ国際フェア協会主催のイベントでワークショップを開催する予定。さて、今度はアルバの白トリュフを使ってどんな芸術(ピアット)を作り出すのでしょうか。
このデンリ-コシェフの料理に当日ペアリングされるワインは、ALTA LANGA DOCGが用意されるようです。また、このBOLLICINEを著名なスポーツカーなどの自動車デザインを手掛けるITALDESIGNがデザインし、老舗ガラスメ-カ-COLLEVICAのガラス職人によって作られたワイングラスで提供されるそうです。とても豪華なワークショップだと思いませんか?